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いわゆる古代七金属の一つである錫は古くから多くの場面で使われてまいりました。

そこで温故知新、というわけではありませんが錫の使われ方を振り返ることで新しい気付きがあるのでは、との思いから簡単にではありますがここに記してゆくことにいたします。


身の回りに多くの金属がある昨今ではなかなかに理解し辛いことではありますが、古代においては貴重かつ重要な金属をどれだけ有意義に使うことができるか、ということは非常に重要なものでありました。


その考えの下に生み出されたものが

「できる限り薄く引き延ばし」

「それほど貴重ではないものの表面に最低限の量だけ使う」

ことを実現する「箔」であります。


そして箔を作るのに展性、延性に富んだ錫は非常に適した金属でありした。

結果として6~7世紀には鉄の上に錫箔を押した耳環が見られるようになり、主に東日本の古墳から副葬品として出土しております。


その後も平賀源内のエレキテルやエジソンの蓄音機といった科学的な器物からチョコレートの包装紙といった身近なものまで多くの場面で使われてまいりました。

この歴史ある錫箔もアルミニウム箔の台頭によりその姿を目にすることはめっきり無くなってしまいました。

ですがアルミニウム箔にはないやわらかさを利点として文化財のレプリカ作りといった日常、目にすることはない場所におきましてはまだまだ使われているようでございます。


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