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今回は「錫引き」、いわゆる錫メッキについての話をさせて頂きます。

丈夫で加工しやすい、そして安価である。と古くから使われ、現在も数多くの場で使われてきた金属に「鉄」がございます。
しかし鉄には「錆びやすい」という問題がありまして、これをどのように解決するか、ということが使われ始めた当初からの関心でございました。


鉄を錆びないようにする。そのためには空気や水に触れないようにすればよい。

ということでそれらを遮断する手段として「表面を錫で覆う」という手段が考えられ、紀元前1500年頃には鉄に錫でメッキをする。ということが行われていたようです。

その後も鉄を錫でメッキする方法はブリキとして缶詰、一斗缶など幅広く使われ、特に食べ物の保管、輸送に大きな影響を与えました。



さてこのような錫メッキなのですが、日本の工芸という点から観ますと銅の錆止めとして使われることが一般的になります。

これは銅が砒素と一緒に産出されることが多いこと、精錬技術があまかった時代には銅製品がある程度の砒素を含んでいたこと、銅の錆である緑青の色がいかにも毒々しかったことが合わさり

「緑青は毒である」

という認識が生まれ

「食べ物が毒(緑青)に触れないように別の素材で被えばよい」

ということで銅製の調理器具を錫でメッキすることが法律で定められました。

その後、銅・緑青は毒ではないという結果が出ました後もこの法律が残り続け、現在でも銅製の調理器具には錫メッキが施されている次第でございます。


器具及び容器包装の製造基準
銅製又は銅合金製の器具及び容器包装

食品に接触する部分を全面スズメッキ又は銀メッキその他衛生上危害を生ずるおそれのない処置を施されたものに限る(但し、固有の光沢を有し、さびを有しないものを除く)

食品衛生法に基づく食品・食品添加物等の規格基準 P179より



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