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今回は漆を使った象嵌である蒔絵・平文についての簡単な解説を書いてゆくことにいたします。

まず蒔絵・平文についてですが、一般的な象嵌が「へこみに詰める」のに対して蒔絵・平文は「乗せて、埋めて、削りだす」という工程をとるのが特長でして、具体的には

  1. 下地をつくり
  2. 金属粉、金属片を乗せ
  3. 漆でおおい
  4. 表面を削る

という工程を経て作られております。

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このとき色の表現として金・銀・錫・鉄・鉛など各種の金属、卵の殻、貝、象牙、陶器などおよそ使えるものは何でも使っていた節のある蒔絵なのですが、やはりキラキラと光ることに加え、形の自由度が高い金属は真珠層を持つ貝をはめ込んだ「螺鈿」とならんで蒔絵に使われる材料の中でも重要な位置を今日まで保持し続けております。

しかしその中での「錫」を見てみますと、空気中では酸化されにくく長く金属光沢を失わないといった特性をいかす物品が開発されなかったり、薄く灰色がかったさび色を好む風習が衰退したりと錫を使う必要性が無くなったことにより、あまり見た目に違いがないうえに豪奢で聞こえのよい銀に押されて新規の錫の蒔絵や平文を見かけることが無くなってしまった様に思います。

錫業界に身をおいているものとしては漆芸業界が現在どのようになっているのかは分かりませんが、このような啓発活動を続けることによって錫を使う方が増えていくことを願いながら締めとさせていただきます。

代表例:蒔絵松竹梅図錫縁香合

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