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日本美術の原点にしてシルクロード各地の貴重な伝世品をおさめる正倉院
その中に、日本の錫の歴史を語るとき必ずといってよいほど登場する宝物「錫薬壷(北倉128)」がございます。

正倉院にある宝物の中で「錫製品」とよべるものは錫薬壷だけでございますが、その他にも錫を使っている宝物はいくつかございますので、いくつかをここで紹介させていただきます。

作られてから1000年以上の年月がたち、その多くが変質、腐食をしてしまってはおりますが
「なぜここに錫を使ったのか」
「作られた当時はどのような見た目をしていたのか」
そのようなことに思いをはせながらご覧いただければとおもいます。



錫薬壷 北倉128
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010328

正倉院で「錫」といえば、必ずと言ってよいほどでてくるのがこの「錫薬壷」でございます。
表面についた横筋のロクロ目からは、この宝物が現代の大阪錫器が使う技法と同様の「ロクロ挽き」によって作られたことをうかがうことができます。

た だこの錫薬壷、「薬壷」とされてはおりますが中に入っていた薬も、その記録もなく、またそのつくりから大陸製とおもわれるものの類似の品も見つかっていな い、と話題性の乏しく、見た目もきらびやかな螺鈿(らでん)細工やガラス製のものと比べるとどうしても見劣りするせいか(見落としていなければ第67回ま での時点で)一度も正倉院展で出陳されていない宝物でもあります。



赤銅合子 第1号 南倉29
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000014231
  わが国上代の工芸材料としての錫
  PDF:http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin/Pdf?bno=0000000162

蓋のつまみの固定に、金銅製座金とともに錫製の座金が使われております。



木画
他の素材では難しい細かい草花の曲線や、幾何学模様の中にすらりと光る差し色として使われております。


紫檀木画箱 第17号 中倉145
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012179
  第11号 紫檀木画箱の復原模造をめぐって(大坂弘道・木村法光) - 正倉院
  PDF:http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin/Pdf?bno=0000000161


青斑石硯 中倉49
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000011932
  わが国上代の工芸材料としての錫
  PDF:http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Bulletin/Pdf?bno=0000000162


沈香木画箱 第12号 中倉142
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012174


木画螺鈿双六局 第1号 中倉172

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012217


桑木木画碁局 第1号 中倉174
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012222


紫檀木画槽琵琶 第2号 南倉101
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000014803




推定
(1989年の時点で)確認はされていないものの、上の宝物に使われていることから使われているのではないかと予想されるものです。


沈香木画箱 第10号 中倉142

http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012172


紫檀箱 中倉160


沈香木画双六局 第2号 中倉172
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012218


桑木木画碁局 第2号 中倉174
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000012223


紫檀小架 南倉54


楽器残欠 筝残欠 南倉177-12


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